【2024年6月 首都圏】家賃保証ラボ賃貸テナントマーケットレポート
賃貸テナントマーケットレポートとは
賃貸テナント市場レポートとは、賃貸オフィスのマッチングサービスcocosyに掲載された首都圏の物件情報を基に、用途およびエリアごとに集計したデータを四半期ごとに公開するものです。本稿では、2024年6月度に掲載された事務所および店舗用途の賃貸テナント物件について、以下の情報をまとめています。
坪単価(円)
月額賃料中央値(万円)
敷金中央値(月)
敷金最頻値(月)
平均築年数(年)
平均募集面積(坪)
物件タグ
テナント探しや賃料設定の参考に、また賃貸テナント市場の分析にご活用ください。
※記事中のデータ・グラフ画像等は「家賃保証ラボ・cocosy調べ(2024年6月度)」のクレジットを明記の上、ご自由にご利用いただけます。本データのさらなる分析記事等歓迎します。
※本レポートより詳細データを家賃保証クラウド内で公開を予定しています。
事務所用途
掲載物件数
首都圏全体の掲載物件数は、前期(2024年3月度)に比べて増加しています。特に東京都23区が首都圏全体の掲載件数の8割強を占めており、次いで横浜市が続いています。3月と比較すると、首都圏全体で掲載件数は増加傾向にあり、23区、市部、川崎市で顕著な増加が見られましたが、横浜市、千葉市、さいたま市では掲載件数が減少しました。
坪単価
首都圏の事務所賃貸物件の平均坪単価は約19,000円となっており、特に23区が最も高い坪単価19,927円を記録しています。さいたま市では、前期比で30%以上の坪単価上昇が見られ、坪単価2万円台半ばの築浅物件が供給されたことが主な要因と考えられます。横浜市も坪単価16,325円と増加傾向にあり、特に大型物件が供給されています。
平均賃料
首都圏全体:月額賃料の中央値は55.5万円。
東京都23区:月額賃料の中央値は56.1万円と、首都圏平均をやや上回ります。
横浜市:月額賃料の中央値は76.9万円と高水準で、500坪以上の大型物件が多く提供されています。
川崎市:月額賃料の中央値は141.0万円で、非常に高い賃料を記録しており、川崎駅周辺に築40年の400~700坪の大型物件が供給されていることが要因と考えられます。
千葉市:月額賃料の中央値は49.1万円。
さいたま市:月額賃料の中央値は95.9万円で、500坪程度の新築大型物件が供給されたことが賃料上昇に寄与しています。
価格帯分布
事務所賃料の価格帯分布を見ると、「50万円未満」の物件が最も多く、全体の過半数を占めています。「500万円以上」の物件も一定数存在し、特に大型物件の供給が顕著です。
築年数と募集面積
首都圏全体の平均築年数は29.7年で、募集面積は87.8坪となっています。23区の募集面積は82.8坪と首都圏全体よりやや小さめです。横浜市では募集面積が168.0坪と非常に広く、築年数も28.7年と比較的新しい物件が多い傾向にあります。川崎市、千葉市、さいたま市でも比較的大型の物件が多く提供されています。さいたま市は平均築年数が最も新しい21.6年となっています。
敷金
2024年6月時点で、首都圏の事務所賃貸物件の敷金の中央値は6ヶ月分、最頻値は12ヶ月分です。また、敷金1か月未満の物件も1割程度存在し、幅広い敷金の分布が見うけられます。
店舗用途
掲載物件数
2024年6月時点の首都圏店舗賃貸市場における掲載物件数は、前期(2024年3月度)に比べて大幅に増加しました。東京都23区は首都圏全体の物件数の4割強を占めており、前期に比べて掲載物件数は増えたものの、全体に占める比率はやや低下しました。次いで市部、横浜市が続いています。
坪単価
首都圏の店舗賃貸市場における平均坪単価は19,698円で、東京都23区が前期より10.05%減少したものの、最も高い22,924円を記録しています。さいたま市は23区に次ぐ20,272円で、前期より30%の上昇を示しました。この上昇の要因は、坪単価3万円後半から4万円前半の新築物件が浦和駅周辺で供給されたことにあります。
平均賃料
首都圏全体:月額賃料の中央値は39.6万円。
東京都23区:月額賃料の中央値は42.1万円で、首都圏平均をやや上回ります。
市部:月額賃料の中央値は30.1万円と、23区や横浜市と比べて低めです。
横浜市:月額賃料の中央値は65.4万円と高水準で、23区よりも高い値を示しています。
川崎市:月額賃料の中央値は71.3万円と非常に高い水準です。
千葉市:月額賃料の中央値は31.0万円。
さいたま市:月額賃料の中央値は71.2万円と非常に高い水準です。
川崎市やさいたま市での高い賃料は、大型物件の比率が高いためと考えられます。
価格帯分布
賃料の価格帯分布を見ると、「50万円未満」の物件が最も多く、全体の過半数を占めています。また、事務所用途に比べると「500万円以上」の物件は非常に少ないです。東京都23区では、賃料最大値が約2500万円、最小値が約1.4万円と、エリアや物件特性による価格帯の幅が非常に広いことが特徴です。
築年数と募集面積
首都圏全体の平均築年数は28年、募集面積は41.3坪です。東京都23区の築年数は平均的で、募集面積は最も小さくなっています。市部は首都圏全体の平均に近い状況です。築年数については、首都圏全体で4.07%の減少が見られ、特に23区での減少(8.99%)が顕著です。横浜市、川崎市、千葉市、さいたま市では、平均より広い募集面積の物件が多く供給されています。特に川崎市では、募集面積が91.01%増加しており、今期の特徴的な動向となっています。
敷金
敷金については、首都圏全体で中央値および最頻値が6ヵ月となり、前期の最頻値12ヵ月から低下しています。地域別では、横浜市の敷金中央値が7.5ヶ月分、さいたま市が10ヶ月分と高い水準になっており、地域による差異が見られます。最頻値では、横浜市と千葉市が12ヶ月、さいたま市が10ヶ月と、他の地域よりも高めに設定されています。
物件タグ
物件検索時のこだわり条件として選ばれているタグの上位を掲載しています。「土日祝エントランスOPEN」が前期8位から1位に急上昇し、「サービスオフィス」(前期4位→2位)、「コワーキング」(前期3位→3位)が続きます。また、「受付・ラウンジ」(前期14位→4位)や「室内カフェ設置」(前期10位→5位)の上昇が顕著です。
この傾向から、従来の事務所利用に加え、サービス業やクリエイティブ系事業からの需要が高まっていることが見て取れます。またフリーランスや副業などの施設ニーズは引き続き強いようです。