見出し画像

フリーランス新法とは?対象となる人や発注事業者に課される7つの義務を解説

2024年11月よりフリーランス新法が施行され、特定受託事業者に仕事を発注する企業にさまざまな義務が課されることとなりました。しかし「特定受託事業者とは誰のこと?」「課せられる義務って何?」など、フリーランス新法について詳しく理解していないという企業も多いのではないでしょうか。

特定受託事業者に仕事を発注する企業はかなりの数になるため、どのような義務が課されるのか理解しておく必要があります。

本記事ではフリーランス新法とは何か、企業に課される7つの義務について解説します。

家賃保証クラウド 問い合わせはこちら

フリーランス新法とは

フリーランス新法とは、2024年11月1日に施行された、フリーランスを保護するために仕事を発注する企業に対して義務を定めた法律です。

正式名称は特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律であり、フリーランス保護新法とも呼ばれます。

今まではフリーランスとフリーランスに仕事を発注する事業者との関係を規制する法律がなく、働く人を保護する基準がありませんでした。その結果、一部の事業者はフリーランスを過酷な労働条件で働かせるという問題が発生していました。

フリーランスの仕事環境を改善すべく創設され、事業者に対して義務や罰則を定めています。

フリーランス新法で対象となる人

フリーランス新法で対象となる人は「特定受託事業者」です。

特定受託事業者とは、発注事業者が業務委託を依頼する相手で以下の2つのどちらかの要件を満たす人です。

  • 個人で従業員を雇っていない事業者

  • 法人で代表以外に役員がおらずかつ従業員がいない事業者

従業者は1週間の所定労働時間が20時間以上、かつ継続して31日以上雇用されると見込まれる労働者を指します。そのため、働き手がいたとしても、時間・日数の条件を満たさなければ従業員として数えられません。

なお、特定受託事業者に仕事を発注する事業は個人、法人問わず「特定業務委託事業者」と呼びます。

フリーランスに仕事を発注する事業者に課される7つの義務

フリーランスに仕事を発注する事業者に課される義務は、以下の7つです。

  1. 契約書による契約条件の明示

  2. 納品から60日以内の報酬支払

  3. 1ヶ月以上の業務委託契約を締結するフリーランスへの禁止行為

  4. 不特定多数の募集に関する正確性の確保

  5. 育児や介護などと業務の両立に対する配慮

  6. ハラスメント対策に必要な環境の整備

  7. 中途解除の予告と理由開示

なお、特定業務委託事業者に課される義務は以下のように、事業者の状況によって異なります。

※各番号は上記の箇条書きに対応した数字です。


1.契約書による契約条件の明示

特定業務委託事業者がフリーランスと業務委託契約を締結するときには、以下の事項を明示しなければなりません。

  • 業務の内容

  • 報酬の額

  • 支払期日

  • 発注する事業者と受けるフリーランスの名称

  • 業務委託した日付

  • 給付を受領する日や役務提供を受ける日

  • 給付を受領する日や役務提供を場所

  • 検査完了日

  • 報酬の支払方法に関する事項

上記の内容を口頭で伝えても義務を果たしたことにはなりません。書面等で明示することが義務付けられている点には注意しましょう。

なお、書面等には電子メールやSNSなども含まれます。

2.納品から60日以内の報酬支払

フリーランスが成果物を納品したり、役務提供を完了したりした場合、その日から60日以内に報酬を支払う必要があります。

業務委託契約ではよく「月末締めの翌々月15日払い」とする事業者もいます。しかし、この期間だと最大で75日空くため、義務を果たしているとはいえません。

なお、できる限り早めに支払うことと義務付けられているため、不当に支払日まで払うのを延ばしてはいけない点にも注意しましょう。

3.1ヶ月以上の業務委託契約を締結するフリーランスへの禁止行為

1ヶ月以上の業務委託契約をフリーランスと締結する場合、以下の7つの行為は禁止されています。

  1. 成果物や役務の受領を拒否すること

  2. 報酬を不当に減額すること

  3. 不当な返品をおこなうこと

  4. 買いたたくこと

  5. 購入や利用を強制すること

  6. 不当な経済上の利益の提供を要請すること

  7. 不当な給付内容の変更ややり直しを命じること

発注者としての地位を利用し、フリーランスに対して不利な行動を取ってはいけません。

4.不特定多数の募集に関する正確性の確保

不特定多数に対して募集をかける場合、内容の正確性を確保しなければなりません。

大量のフリーランスを募集する際、インターネット広告やSNS、クラウドソーシングを利用するケースがあり、これらの媒体で広告する事業者のなかにはわざと誤解を与える内容を記載することがあります。

たとえば、すでに終了した案件を再掲して人材を集める、報酬が確約されているように表示するなどの行為です。

虚偽表示や誤認させる表示はフリーランスに不利益を与えるおそれがあり、正確な情報の掲載が求められます。

5.育児や介護などと業務の両立に対する配慮

特定業務委託事業者はフリーランスと契約期間6ヶ月以上の業務委託契約を締結する場合、育児や介護などと業務を両立できるよう配慮しなければなりません。

現代は多様化が進み、男女問わず育児にかかわる機会が増えています。また、少子高齢化にともない、親族の介護が発生しやすい状況になっています。そのため、特定業務委託事業者はフリーランスに対して働きやすい環境を提供することが求められているわけです。

ただし、仕事の都合上、どうしても配慮できないケースもあるでしょう。そのようなときには、配慮できない理由を明示してフリーランスに対して伝えなければならないとしています。

6.ハラスメント対策に必要な環境の整備

特定業務委託事業者はハラスメント対策として、以下の3つの措置を講じなければなりません。

  1. ハラスメントしてはいけないという方針を明確にしたうえで周知する

  2. 相談や苦情に適切な対応するための体制を整備する

  3. ハラスメントが発生した際には迅速かつ適切に対応する

ハラスメントとは、嫌がらせやいじめなどの迷惑行為を指します。仕事関係で起きやすいハラスメントは「パワハラ」「セクハラ」「マタハラ」の3つとされています。これらのハラスメントが発生しないよう、特定業務委託事業者は注意喚起するとともに適切な対応を取らなければなりません。

7.中途解除の予告と理由開示

6ヶ月以上の期間を定めた業務委託契約を解除する場合や更新しない場合、特定業務委託事業者はフリーランスに対して解除を予告しなければなりません。

解除予告は、解除の予定日から30日前までにおこなう必要があります。また、解除予告した際にフリーランスより解除理由の開示を求められた際には、その理由を明示する義務が課されます。

フリーランス新法における罰則

特定業務委託事業者がフリーランス新法に定められた義務に違反した場合、罰則を受けます。

フリーランス新法に違反した場合、公正取引委員会や中小企業庁長官、厚生労働大臣から行政指導がおこなわれます。行政指導の検査拒否、命令に従わなかった場合、50万円以下の罰則を受けるおそれがあるため注意しなければなりません。

また、特定業務委託事業者の従業員がフリーランス新法に違反した場合でも、事業者に対して罰則が適用されます。そのため、特定業務委託事業者は従業員の教育に努める必要があるといえるでしょう。

まとめ

企業によっては労働力の確保のため、多くのフリーランスと業務委託しています。また、働き方の多様性が高まってきたことでフリーランス人口も増加しています。

今後もフリーランスを活用する企業が増えると予測されており、両者が良好な関係を築くためにも企業はフリーランス新法の義務を果たさなければなりません。

家賃保証業務の効率化に興味のある方へ

家賃の督促だけでなく、審査するときのリスクチェックや入金確認など家賃保証業務にはさまざまな要素が複合します。

「家賃保証クラウド」は、保証会社の方々の家賃保証業務を効率化するクラウドシステムです。

オートコールでの督促だけでなく、SMS配信やリスクチェック、入金情報の自動取得など多くの機能が搭載されています。紙の申込書を削減するWeb申込みや契約に対応し、提携管理会社との連絡時間を大幅削減できるWebサービスを標準搭載しているなど、家賃保証業務をオンライン完結が可能です。

家賃保証業務において、リスクの軽減や大幅な業務効率化を実現したい方は、以下よりクラウド型家賃保証業務管理システム「家賃保証クラウド」の紹介ページをご覧ください。

家賃保証クラウド 問い合わせはこちら