ボトムアップだけでは不十分。リース流策定プロセス全容【社員数1桁のバリュー策定・後編】
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ボトムアップだけでは不十分。リース流策定プロセス全容【社員数1桁のバリュー策定・後編】

REASE Inc.

「バリューが浸透する鍵は策定プロセスにあります。そして策定プロセスには、ボトムアップとトップダウンをうまく織り交ぜる必要があるんです」――前職では組織開発の仕事を行い、クライアントのMVV策定に伴走した経験も豊富に持つリースのCHROは、そう語る。
後編となる当記事では、CHRO野島さんへのインタビューを通じて、そんな策定プロセスの全容と、そこで行われた対話を具体的に紐解いていく。

▼前編はこちら

いいバリューとは、以下の5つの要件を満たすもの

――バリューの策定プロセスを設計するにあたって、一番はじめにやったことは何ですか?

野島:そもそもバリューとはどんなものであるべきか?について、知り合いのCHROの先輩方やリースの経営陣と徹底的に議論して、要件定義を行いました。バリューについて対話を行う際にメンバーの認識を揃えるためにも、最終的なバリューを決める際に立ち戻るためにも、自分たちなりの定義を明確にしておく必要があると考えたからです。

その結果たどり着いたのが、以下の5つの要件です。

――前編では、「バリューは仕事の妥協点を高くするための合言葉である」と仰っていましたが、その他に4つの要件が加わっていますね。

野島:妥協点を高める言葉は世の中に無限にありますが、その中で実際に組織に浸透して日常的に使われうる言葉は限られてきます。思わず口ずさみたくなるような言葉であることや、自分たちに馴染みのある言葉であること、日常の仕事のシーンで使いやすいことなどの条件が必要なんです。僕たちはあくまでバリューが実際にワークすることにこだわりたかったので、このような定義になりました。

CHRO 野島氏

とはいえ、現状のカルチャーやチームの状態そのままを言語化したものにしてしまうと、ただの現状維持になってしまう。そのため、どんな言葉を口ずさんでいたらミッション達成に近づけるか?を考えることも要件に加えています。

ボトムアップとトップダウンを効果的に織り交ぜた、策定プロセスの全容

――ここまでしっかりとバリューを定義している例は、他にあまりないと思います。要件定義のあとは、実際にバリューを策定していったんですよね。まずは策定プロセスの全体像を教えていただけますか?

野島:リースにジョインする前に働いていたミミクリデザイン(現・MIMIGURI)で得た知見をふんだんに使わせてもらい、以下のようにプロセスを設計しました。

(1)   「日々仕事で心がけていること3つ」を全員で共有・対話
(2)   CEO中道さんからのインプット
(3)   「自分が考える、リースのバリュー3つ」を全員で共有・対話(多様決)
(4)   経営陣で練り上げ

――(1)と(3)がボトムアップの、(2)と(4)がトップからのアプローチですね。

野島:プロセスは、次のような4象限で整理して考えました。

野島:プロセスの初手は、左下の個人 × 過去の象限から。自分起点で対話が始まらないと、宙に浮いた話になってしまうからです。いきなり社会はどうあるべきか、どんな価値貢献をしたいか、といった話をしても、どうしてもお飾りの対話になってしまうんですね。

一方で、そのままだと「これまで」の「自分」の価値観を出し合っただけにすぎず、ミッション達成のために集まったチームとして大事にしたいバリューをつくるには不十分です。そのため、その後はトップからのアプローチを効果的に使うことで目線を「組織」や「未来」に引き上げていき、踏まえて最後にバリューを考える、というプロセスにしました。

(1) 「日々仕事で心がけていること3つ」を全員で共有・対話

――ここからは(1)から順に、具体的にどんな対話が生まれたのかも含め、お話を聞いていきたいと思います。

野島:(1)では、「日頃仕事で心がけていることは?」という問いへの答えを全メンバーが共有し、それを踏まえて全員で対話する、というワークショップを行いました。

――具体的にはどのように場を進めていったのでしょう。

野島:以下のボードは、当日実際に使用したものです。まずは個人ワークで、日頃心がけていることを列挙し、そこからTOP3を選んでもらう。その後、それに対して他のメンバーがコメントをつけていく。という順序で進めていきました。

野島さんの「日頃心がけていること」のボード

――その際、特に盛り上がった対話はありましたか?

野島:「チャレンジ」というキーワードに関する話は盛り上がりましたね。リースのミッションは、個人の信用価値を最大化すること――さらに言えば、どんな生き方・働き方をする人も等しく、意思・行動・結果を示すことで、自らの信用力を高められる育成型のインクルーシブな評価の仕組みをつくることで、個人のチャレンジが溢れる世界を実現することです。そこに共感したメンバーが集まっているので、「個人のチャレンジを大切にしたい」という価値観は全員に共通していることが分かったんです。

一方で、それ以外には直接リースのバリューに使えるイメージの湧くようなキーワードはほとんど出てきませんでした。そこで続いては、先ほどの4象限でいう上半分、組織の観点を含んだ「CEOからのインプットセッション」に移行しました。

(2) CEO中道さんからのインプット

――中道さんからは、具体的にどのような話をしてもらったのでしょう。

野島:リースはこれまで何をしてきて、これから何をしていくのか――特にこれからのチャレンジプランに力を入れて喋ってもらいました。

ミッション達成が目標といえども、達成までの道のりのイメージがないと、そのために何を大事にすべきかを考えることは難しいですよね。

そこで、これまで取り組んできた事業のシードづくりから、今後どういったマイルストーンを経て、どのようにミッション達成へ繋がっていくのか?改めて中道さんの言葉で語ってもらったんです。

リースのミッション達成までへのマイルストーン

▼参考記事
リースの事業内容については、こちらの記事をご参照ください。

――インプットの後は、全員で対話する時間もあったんですよね。そのなかで印象的だったものはありますか?

野島:こうした展開を踏まえると、僕らが事業の柱にしている「信用を測る新しいモノサシをつくる」という営みは答えが簡単にでないもの、いわば永遠のβ版だと捉えて取り組む必要があるよね、という話がでてきて、盛り上がりましたね。

だからこそ、自分たちがスタンダードを作りきったと思ってしまわず、考え続ける姿勢を持つことが大事だ、という話になり、これは最終的なバリューを考える上で大切になりそうな観点だなと思いました。

(3) 「自分が考える、リースのバリュー3つ」を全員で共有・対話(多様決)

――まさにトップからのアプローチがあってこそ出てきた視点だと思います。その次は、「CEOの話を踏まえて、自分がリースのバリューを作るなら?」という問いを投げかけたんですよね。

野島:(1)の対話の時と同様、各自に自分の案を発表してもらったうえで、全員で対話を行いました。(1)と違った点は、対話の際に多様決を行ったことです。

多数決ならぬ多“様”決とは、共感するものと違和感があるものの両方に票を入れてもらう手法で、ミミクリで仕事をしていた時に学ばせてもらったものです。多数決では、みんなが共感しやすい意見は明らかになるものの、逆に言うと異論が出づらいような当たり障りのない無難なアイディアに収束してしまうデメリットがあります。

一方で多様決では「どんな違和感を感じたのか?」という問いから、まだ言語化しきれていない一人ひとりの価値観をより深く掘り起こして引き出すことができ、深い対話ができます。これにより、自然とアイディアもブラッシュアップされていくんです。そのため、特に共感票と違和感票とが入り混じっている部分は、対話のし甲斐があると言えます。

――「多様決」で盛り上がった対話には、どのようなものがありましたか?

野島:僕の出した「Take it easy」という案には、共感票と違和感票の両方が集まりましたね。

「失敗しても反省はするけどくよくよしない。どんどんチャレンジしよう」という意味合いには共感が集まった一方で、違和感票として「なんとなくぬるま湯感を感じてしまう」「リースらしいけど、これだけだと何か物足りない」といった意見が出たんです。

この話は、後にCOOの尹さんから出た「早く失敗しよう」という案についての対話で回収されることになります。失敗しても反省して前に進めば良い!という意味合いこそ「Take it easy」と同じですが、「失敗しよう」という言葉はそれ自体が挑戦することを前提としています。つまり「チャレンジには失敗がつきものだから、何も失敗してないってことはチャレンジをしていないってことだ」という思想を表現できていて、「行動=チャレンジがドライブされるイメージが持てていいね」という話になったんです。

――それを口ずさむことで本当に行動がドライブされるのか、までがしっかりと対話されていて、バリューを「使用時のエピソードと一緒に語れるものである」と冒頭で定義したことがちゃんと効いているのだな、という印象を受けました。

(4) 経営陣で練り上げ

野島:その後は、(3)での対話を踏まえ、僕を含めた経営陣で最終的なアウトプットを作成しました。焦らずいいものつくろうというスタンスで臨んでいたので、作成には結構時間がかかりましたね。話し合いは、2時間を3セットほどやったんじゃないかと思います。

そうして出来上がったアウトプットを、どういう経緯でどういう表現にしたか、どういう意味を込めたかを含めてメンバーに共有し、認識合わせをして、ファイナライズを行いました。

最終的に生まれた、4つのバリュー

――最終的にリースのミッションはどのようなアウトプットになったのでしょうか?

野島:以下の4つです。

完成したバリュー

――それぞれに込められた意味や、選ばれた背景を教えていただけますか?

野島:その前に、まずはバリューの前提となる以下の「序文」を紹介させてください。

信用のプラットフォームをつくるというビジョン自体が壮大なチャレンジであり、それによって世のチャレンジの総量を増やしていきたいリースだからこそ、自分たち自身もどんどんチャレンジしていく会社であり続けたい。

ゆえに、バリューを通じて体現していきたいのは「チャレンジが日常」という状態である。

さらに、チャレンジは責任感・義務感でするものではなく「やってみたいからやる」という個人の想いが起点となっていることを大事にしたい。なぜなら、チャレンジは必ず壁にぶち当たるが、この壁を乗り越えるのがそれでも何とかしてやりたいという想いだからだ。さらに、この個人の想いがあるからこそ、人がそこに共感し巻き込まれ、チャレンジを共にする仲間が増えることで、さらに大きな壁も乗り越えられるし、大きな渦を巻き起こすことができる。

このチャレンジによって、結果的に顧客・ユーザー・ステークホルダー、ひいては社会への提供価値が非連続に上がっていく。

野島:このような序文を設けたのは、1つ1つのバリューがなぜ必要か?は言語化したものの、そもそもなぜこの4つなのか?このバリューを通じて到達したいポイントはどこなのか?を示したかったからです。

――プロセス(1)で出てきた、「チャレンジ」という言葉がキーワードになりそうだ、という話がまさにその通りになったんですね。では改めて、バリューの1つ1つに込められた意味などについて教えてください。

1.思い切って飛び込もう/Dive as a Hustler

やってみたいというwillの種を見つけたのに二の足を踏むのはもったいない。どうなるか分からないワクワクに身を委ねて思い切ってやってみよう。

野島:序文にも出てきたように、責任感や義務感ではなく、やってみたいからやるということを大事にするカルチャーでありたい、という思いを込めてバリューに決めました。なぜなら、「ねばならない」でやっても新しいものや突き抜けた成果は出ないからです。

これは、人はwant toな(やりたい)ことをしている時にこそ大きなエネルギーが出る、という認知科学コーチングの理論も参考にしています。

――「自分の中にある『やりたい』という気持ちを大切にする」というのは、もともとリースの経営陣の皆さんが共通で大切にしてきた考え方でもありますよね。そのカルチャーを、組織拡大後も持ち続け、さらにはもっと加速させていこう、という思いが感じられるバリューだと思いました。

2.当たり前はつまらない/Off the Rail

既存の延長線上で物事を考えていたらつまらない。常に当たり前を疑い、現状の外に飛び出そう。

野島:これまでのやり方を踏襲するような現状維持をしているだけでは、いつかは必ず淘汰されてしまいます。にも関わらず人も組織も放っておくと現状維持をしてしまう生き物だから、自分たちの当たり前を自分たちの手で覆すことを良しとするような合言葉を持っておきたい――そんな思いで、バリューに設定しました。

――プロセス(2)の対話でも出てきた、「永遠のβ版」「自分たちをスタンダードだと思わず、常にチャレンジャーの姿勢を持つ」という話にも紐づく部分ですよね。

3.早く、うまく失敗しよう/Fail Fast, Fail Well

失敗してなければチャレンジしていない。とにかく早く一歩目を踏み出し、失敗と改善の螺旋階段を駆け登ろう。

野島:このバリューは、先ほどプロセス(3)でも話に挙がったものです。設定の背景も先述の通りで、本質的にチャレンジの後押しになる言葉は何か、という視点から、あえて失敗することを奨励するような表現にしました。

「うまく」を入れたのは、学びのない失敗は量を重ねても成功にはつながらないからです。

4.圧倒的おせっかい/Super Nosy

仲間のチャレンジがうまくいくための応援に遠慮は無用。頼まれずとも前のめりに首を突っ込もう。

野島:「自分のやりたいチャレンジをする」という姿勢を大切にすると、ともすれば各自が別々の方向を向いてしまい、仲間のことは我関せず、という状況になってしまいます。そうではなくて、「助けて!」と言えば誰かがヘルプしてくれるはずだというカルチャー、むしろヘルプが出てなくても「もっとこうした方がいいでしょ!」と忖度なしでフィードバックしあうカルチャーでありたい、という思いを込めて、バリューに決めました。

――たしかにリースは、前提として個のプロフェッショナリズムが高い組織だと思いますが、だからといって自分の成果だけを追っていればいいという無機質な雰囲気ではないですよね。プロとして独立していながらも有機的につながっている、お互いに背中を預け合う仲間感、のようなものを感じるというか。そんなリースの雰囲気がよく表れたバリューだと思いました。

野島:そうですね。「お互いをリスペクトする」というニュアンスの言葉は(3)のワークで多くのメンバーから挙がっていて、それにリースらしさを加えた言葉として、経営陣での練り上げの際に中道さんがポロリと「おせっかい」という言葉を漏らしたんです。そこからこのバリューが生まれました。

――以上、前後編に亘ってリースのバリュー策定の全容を見てきました。ボトムアップのワークショップとトップからのアプローチを効果的に織り交ぜた結果、まさに今あるリースらしさとミッションに向けたストレッチ感が程よくバランスされたバリューができあがったのではないか、と感じます。

とはいえ、前編でも話に挙がったように、バリューは策定後に上手く運用されてこそはじめて意味があるもの。これから社内にバリューが浸透し、メンバー個々人によって体現され、さらに成長が加速していくリースが楽しみです!

【ライタープロフィール】
高野 優海 note
早稲田大学文化構想学部出身。卒業後、人材系ベンチャーにて学生の就職支援や企業の採用支援に従事したのち、栃木県の非電化工房に弟子入り。有機農業やセルフビルドを中心に、様々な自給自足の術を学ぶ。現在はライター業を中心にフリーランスとして活動。


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